ここでは, 被覆写像は局所同相写像であることを示します. 定義 1. を位相空間とする. 位相空間 が 上の被覆空間であるとは, 次の条件をみたす全射連続写像 が存在することである : 任意の点 に対し, ある の開近傍 と集合 が存在して, かつ 各 は の開集合で…
ここでは、自身を除く全てのイデアルが素イデアルになる単位元をもつ可換環は体であることを示します. なお、これは多元数理の博士後期課程の2022年度の問題で見かけました. https://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/admission/gs/download/exam-dc-2022s.pdf 命…
今日も元気でした。 結局台風の影響はほとんど受けず天気はとてもよかったです。 お昼ご飯に同期と焼き鳥屋さんに行ったのですが そこの親子丼がトロトロしていて味も濃くとても美味しかったです。 サッカーだとレアルマドリードのエムバぺがリーグ戦初ゴー…
ここでは, 開部分空間の開集合はもとの位相空間においても開集合であることを示します. まずは誘導位相と相対位相を定義します. 定義 1.(誘導位相) 集合 と位相空間 , および写像 が与えられたとき, 次の の部分集合系 は位相の公理をみたす : . この を, の…
今日も元気です。 朝バルセロナが 7-0 で勝ったというのを X で見たのでハイライトを見ました。 ヤマルのスルーパスがうますぎでした。 ダニオルモはポスト直撃が多かったけど最終的にはゴールしてました。 そのあとは YouTube でアオイゲームのドラクエ7の…
ここでは, 局所同相写像は連続写像であり, かつ開写像であることを示します. それぞれの定義は次の通りです. 定義 1. を位相空間とする. 写像 について が連続写像であるとは, 任意の の開集合 の逆像 が の開集合となることをいう. また, が同相写像である…
ここでは, 「クラスナーの補題」という定理とその応用を紹介します. 以下では次を仮定します. は 整域 は の商体で標数 に対して, は有限集合 は拡大次数 の有限次拡大 は の における整閉包 では早速定理を述べていきましょう. 定理 1.(Krasner's lemma) 上…
前回は群の作用の定義などをまとめました. mathgara.hatenablog.com 今回は 置換表現 といわれる群の作用の一種を扱います. 意外と院試などで使うテクニックでもあるのでぜひ目を通してみてください. を群, とする. が に左から作用するとき, に対して なの…
今回は かつ と の間に全単射が存在するなら か? を考えます. 以下では, 集合 に対して で の濃度(元の個数)を表すとします. まず, 有限集合においては次が成り立ちます. 命題 1. を有限集合とし, とする. このとき, と の間に全単射が存在するならば であ…
ここでは, 群の作用を定義し, いくつか具体例を見ていきたいと思います. 定義 1.(群の作用) を群, を集合とする. このとき, 群 の集合 への左作用とは, 写像 で, 次の を満たすもののことである: 注意. 上の条件 は 「 を作用させたものにさらに を作用させ…
あけましておめでとうございます. 年になりました. ということで, ここでは位数 の群を決定しようと思います. 命題 1. 位数 の群はアーベル群であり, 次のいずれかと同型になる. 証明 を位数 の群とする. であるので, シロー 部分群 と シロー 部分群 が存在…
問題.(Selected Exercises in Algebra. 140) を群とし, を となる群準同型とする. このとき以下を示せ. 解答例. を任意にとる. なので また, より ある が存在して 仮定より なので よって となる. は明らかなので逆方向の包含を示す. を任意にとる. このと…
前回は第二同型定理, 第三同型定理についてまとめました. mathgara.hatenablog.com 今回は準同型の分解についてまとめます. 定理 1.(準同型の分解) を群とし, を準同型とする. さらに を正規部分群とし, を自然な全射準同型とする. このとき下図が可換図式と…
ここでは ベキ零群の極大部分群は正規である という命題を示していこうと思います. まずはベキ零群を定義しましょう. 定義 1. 群 の降中心列が有限の長さで自明群になるとき, を ベキ零群 という. すなわち, によって定まる正規部分群の列で とできる. ただ…
前回は準同型定理その1ということで, 準同型定理(第一同型定理)についてまとめました. mathgara.hatenablog.com 今回は続いて第二同型定理, 第三同型定理についてまとめたいと思います. 定義 1. 群 の部分群 に対して とおく. Remark. 上の は一般には部分…
前回は正規部分群と剰余群についてました. mathgara.hatenablog.com 今回はついに準同型定理についてまとめます. まずはその中でも基本的な「第一同型定理」についてです. 代数をする上で絶対に欠かすことができない重要な定理ですので, できればあいまいな…
以前 のときに の類数が奇数になることを示しました. mathgara.hatenablog.com 今回は の場合を考えます. 方法は似たようなものです. 命題 1. を素数とする. このとき の類数 は偶数である. 証明 虚二次体の類数公式から を二次の指標とすると . なので であ…
今回は群の任意の元の位数が 以下ならアーベル群であることを示します. 命題 1. 群 について任意の に対して のとき, はアーベル群. 証明 を任意にとったとき であることをいいたい. より ここで より , についても同様なので よりOK. (終) 今回はこれで終わ…
ここでは を で割って 余る 以上の素数としたとき の類数などがどうなるか, またそこから何がわかるのかをまとめます. まずはそのために補題を示します. 補題 1. を素数で, とし, を の類数, を の二次指標とする. すなわちルジャンドル記号である. このとき…
今回は正規部分群とそこから得られる剰余群についてまとめてみます. まずは正規部分群のとき, 左剰余類と右剰余類が一致することをみてみましょう. 補題 1. が群 の正規部分群で なら, となる. 証明 を任意にとる. このとき が の正規部分群なので であるか…
ここでは「すべての既約元が素元になるがUFDでない例」を紹介したいと思います. 代数学の教科書ではよく次の命題が載っています. 命題 1. 可換環 が ならば, のすべての既約元は素元になる. 今回はこの命題の逆の反例を考えるということです. 実は次のような…
前回はラグランジュの定理など有限群やその剰余類の位数についてまとめました. mathgara.hatenablog.com 今回は群論においてとても大事で基本的な正規部分群の定義と例についてまとめたいと思います. 以前まで、群 とその部分群 に対して という剰余類の集合…
ここでは群準同型 が 真部分群 に対して となるときについて考えます. 結論は次の通りです. 命題 1. 群準同型 が 真部分群 に対して となるとき, である. 証明 をひとつとる. 任意の に対して なので となる. よって任意の に対して である. (終) 今回はこん…
ここでは L. Carlitz による類数 の代数体の特徴付けを紹介したいと思います. 定理 1.(L. Carlitz, 1960) を代数体, を の整数環, を の類数とする. このとき であることと, 任意の に対してある にのみ依存する自然数 が存在して, と既約元分解されることが…
ここでは, 可換環 とその積閉集合 に対して次の環準同型写像 が単射でない例を紹介したいと思います. 僕はこれをアティマクではじめて読んだときとても戸惑ったのを覚えています. なんで?ってなりますよね. ということで少しずつ考えていきます. まず, 環準…
ここではイデアルの和と積の定義についてまとめたいと思います. 基本的なことではあるのですが, わりと最初は定義を勘違いしやすいと思うので読んでみてください. まずはイデアルの定義を確認しましょう. なおここでは環といったら可換環のことを意味するこ…
ここでは, 群 とその正規部分群 に対して, ならば が成り立つかを考えたいと思います. 逆に関しては当然成り立ちますよね. さてこの命題はどうなのでしょうか. 実はこれは一般には成り立ちません. 反例が次の通りです. 証明は省略します. 反例. 乗法群 とそ…
前回は商と剰余類の例についてまとめてみました. mathgara.hatenablog.com 今回はラグランジュの定理など, 位数についての話題をまとめてみたいと思います. とはいっても, 群の位数の話題はたくさんあって僕も知らないことがまだまだあると思いますが, ここ…
前回は同値関係と同値類についてまとめました. mathgara.hatenablog.com 今回は引き続き同値関係により定まる商や剰余類についてみていきたいと思います. 定義 1. を 上の同値関係とする. を の同値関係 による商という. 写像 を自然な写像という. に対して,…
今回は同値関係と剰余類についてまとめようと思います. 同値関係や剰余類の考え方は代数学だけでなくほかの分野でもよく出てくるので, はじめはなじめないかもしれないですが, しっかり腑に落ちるまで時間をかけて慣れていってください. 定義 1.(二項関係) …