演習
ここでは、自身を除く全てのイデアルが素イデアルになる単位元をもつ可換環は体であることを示します. なお、これは多元数理の博士後期課程の2022年度の問題で見かけました. https://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/admission/gs/download/exam-dc-2022s.pdf 命…
ここでは, 局所同相写像は連続写像であり, かつ開写像であることを示します. それぞれの定義は次の通りです. 定義 1. を位相空間とする. 写像 について が連続写像であるとは, 任意の の開集合 の逆像 が の開集合となることをいう. また, が同相写像である…
あけましておめでとうございます. 年になりました. ということで, ここでは位数 の群を決定しようと思います. 命題 1. 位数 の群はアーベル群であり, 次のいずれかと同型になる. 証明 を位数 の群とする. であるので, シロー 部分群 と シロー 部分群 が存在…
問題.(Selected Exercises in Algebra. 140) を群とし, を となる群準同型とする. このとき以下を示せ. 解答例. を任意にとる. なので また, より ある が存在して 仮定より なので よって となる. は明らかなので逆方向の包含を示す. を任意にとる. このと…
ここでは ベキ零群の極大部分群は正規である という命題を示していこうと思います. まずはベキ零群を定義しましょう. 定義 1. 群 の降中心列が有限の長さで自明群になるとき, を ベキ零群 という. すなわち, によって定まる正規部分群の列で とできる. ただ…
今回は群の任意の元の位数が 以下ならアーベル群であることを示します. 命題 1. 群 について任意の に対して のとき, はアーベル群. 証明 を任意にとったとき であることをいいたい. より ここで より , についても同様なので よりOK. (終) 今回はこれで終わ…
明けましておめでとうございます. 2022年になりました. こういう年号が変わるときはその年の数のについてもしかしたら人生で一番考えるときになっているという人もいるかもしれません. 僕もその一人です. さて は素因数分解すると となり, つの素数の積にな…
今回は「指数 の部分群は正規部分群である」ことを示します. 群論の序盤のほうで演習などで出される印象が強いよくある問題です. 命題 1. を群, を指数 の部分加群とする. このとき は正規部分群である. 証明 が指数 なので と直和でかける. に対して, なら …
ここでは, おそらく多くの人も気付いているかもしれない合成数の素因数に関する性質を紹介します. 命題 1. を合成数とする. このとき は なる素因数 をもつ. 証明 が合成数なので と整数の積で書ける. ただしこのとき < < としていい. このとき である. なぜ…
命題 1. 有限群 の真部分群 が の任意の真部分群を含むとき は巡回 群である. 証明 をとると仮定から となるので巡回群になるのは OK. を を割る素数とする. が 群でないなら を割る と異なる素数 が存在する. このとき はともに の真部分群なので に含まれ,…
ここでは「ベキ零でないベキ零元根基」の例を挙げたいと思います. 一般にネーター環のベキ零元根基はベキ零になるので、ネーター環でない環で考えないといけないということになります. パッと思いついたネーター環でない環は とかですかね. では紹介します. …
問題 環の拡大 について, が乗法的に閉じているとき は整閉であることを示せ. 解答例 が 上整とすると となる自然数 と が存在する. このとき のとり方から であり, またそのような で最小なものとしてとることにする.ここで とおくと, の最小性から である.…
ここでは, なんか僕が初めて出会ったときに, 言われてみれば当たり前だけど面白いなあと感じた素数についての簡単な不等式を紹介します. 命題 1. を 番目の素数とするとき 証明 は と互いに素である. よって 以上の素数の倍数であるので不等式が成立する. 何…
ここではエルミート行列の固有値についてまとめてみたいと思います. 命題 1. を の標準エルミート内積とし, を 次エルミート行列, すなわち共役転置 に対し, とする. このとき次が成立する. の固有値はすべて実数である. 以下, を の固有値とする. 各固有値 …
ブール環の本当に簡単な性質をまとめます. まずは定義を述べましょう. 定義 1. 環 はすべての に対して をみたすとき ブール環 という. 命題 2. ブール環 について次が成立する. すべての に対して, すべての素イデアル は極大イデアルであり, はハウスドル…
命題 1. を環の拡大とし, を の素イデアルとする. このとき, が素イデアルならば も素イデアルである. 証明 より素イデアルの逆像は素イデアルなのでOK. (終)
演習 を奇素数とする. このとき の分子は の倍数である. 解答例 より なので である. は全単射. よって mod で を考えると よって の分子は の倍数である. (終) 何か間違いなどあれば教えてください
演習 を素数, とする. このとき は mod の原始根, すなわち の生成元であることを示せ. 解答例 まず仮定の等式から が明らかにわかるので, は奇素数である. より, の位数の候補は である. いま明らかに > であるので はあり得ない. もし位数が であるとする…
今回は を環の拡大として, が 上整としたとき, が において単元なら において単元であることを示します. まずは少し定義を述べます. 定義 1. を環の拡大とする. が 上整とは, がある 係数モニック多項式の根になることである. の任意の元が 上整なら が 上整…
命題 有限整域は体である. 証明 を有限整域とする. をとる. このとき は有限集合より, ある自然数 > が存在して, であり, よって, となる. は整域で, なので より の乗法逆元は となり は体である. (終) 何か間違いなどあれば教えてください.
ここでは Hilbert の分岐理論を用いて, "代数体の有限次拡大 が巡回拡大でない Galois 拡大ならば, で分解しない のイデアルは高々有限個" という事実を示します. まずは今回出てくる言葉の定義や定理をまとめます. 定義 1. 代数体の有限次 Galois 拡大 に対…
代数的整数論には 任意の代数体のイデアル類群は有限群である という大事な定理があります. 今回はこの定理を用いて"任意の代数体 に対して, ある の有限次拡大体 が存在して, の任意のイデアルが において単項イデアルになる" ということを示します. (ノイ…
問題 を 以上の奇数とするとき, となる有限群 は存在しないことを示せ. 解答例 背理法で示す. 条件を満たす有限群 が存在したとする. 一般に を群 の中心, を内部自己同型群とすると となり, 今回 が巡回群なので も巡回群になり, よって はアーベル群になる…