ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

位数 pqr の有限群は可解群

明けましておめでとうございます. 2022年になりました.

こういう年号が変わるときはその年の数のについてもしかしたら人生で一番考えるときになっているという人もいるかもしれません. 僕もその一人です.

 

さて  2022素因数分解すると

 2022=2 \times 3 \times 337

となり,  3 つの素数の積になります. このような数は楔数(くさびすう)といいます.

ここでは位数がこういう  pqr 型の有限群が可解群であることを示したいと思います.

補題 1.  p を 有限群  G の位数の最小の素因数とする. このとき指数  p の部分群  H正規部分群である.

証明  X:= G/H = \{ g_{1}H=H, g_{2}H, \cdots, g_{p}H \} とする. このとき  g \in G

 g: X \to X, g_{i}H \mapsto gg_{i}H

により  X から  X への全単射になる. よって写像

 \varphi : G \to \mathfrak{S}_{p}

が定義でき, これが群準同型写像になることも簡単にわかる. すると  K:={\rm Ker}(\varphi) H に含まれる  G正規部分群になる. ここで  |G/K| |G/H|=p で割り切れ, かつ  | \mathfrak{S}_{p} | = p ! を割る.  p G の位数の最小の素因数であったことをふまえると  |G/K|=p がわかり  H=K となり, よって  H正規部分群である. (終)

 

ちなみに上の補題の証明の前半は 「剰余類の置換による群の表現」という, 結構よく見るテクニックになります. (参考文献の「大学院への代数学演習」や YouTube でも龍孫江さんなどが解説をあげていらっしゃいます)

 

命題 2.  p <  q <  r を相異なる  3 つの素数とする.  このとき位数  pqr の有限群  G は可解群である.

証明 まず  G {\rm Sylow-} r 部分群の個数の候補は Sylow の定理から  r で割って  1 余る  pqr の約数となるがそれは  1 のみである. よって  {\rm Sylow-} r 部分群の個数は  1 つだけであり, よって正規部分群になる. これを  H とおく.  K G {\rm Sylow-} q 部分群の一つとする. このとき  HK は位数  qr, よって指数が  G の位数の最小の素因数  p である  G の部分群になる.  よって補題より  HK正規部分群. すると

 G \supset HK \supset H \supset \{ e \}

という部分群の列が  G が可解群である条件をみたすことを示すものである. (終)

 

系 3. 位数  2022 である有限群は可解群である.

 

何か間違いなどあれば教えてください.

 

[参考文献]