整拡大における極大イデアル
今回は整拡大における極大イデアルの性質を紹介します.
補題 1. を整域かつ整拡大とする. このとき
が体である が体である.
証明
[ について]
とする. このとき最小次数をもつ整従属関係式を
とする. このとき最小次数で が整域なので である. よって
となり は体である.
[ について]
をとる. は体であるので であり, 上整なので整従属関係式
が存在する. すると
となり は体である. (終)
また整従属性は剰余環に移っても保たれます. 証明は次の記事にあります.
では今回のメインの命題を紹介します.
命題 2. を整拡大とし, を の素イデアルとする. とするとき
証明 剰余環に移っても整従属性が保たれるので は整域の整拡大である. 補題1 を用いると
より主張が成り立つ. (終)
何か間違いなどあれば教えてください.
[参考文献]