ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

体の拡大と類数

ここでは, 代数体の拡大において, ある条件の下でそれぞれの類数に約数・倍数の関係がうまれることを紹介します.

 

命題 1.  L/K を Galois群が Abel 群になるような非自明な不分岐部分拡大  F/K をもたない代数体の拡大と仮定する. このとき,  K の類数  h_k L の類数  h_L を割る.

 

証明  H K のHilbert 類体 ( K の最大不分岐 Abel 拡大)とすると, 類体論より Gal( H/K) は  Kイデアル類群に同型である. 仮定より,   H \cap L =K である. よって  [ LH : L ] = [ H : K ] となる. しかし,  LH/L は不分岐 Abel 拡大より,  H' L の Hilbert 類体とすると  LH \subset H' なので  h_K=[ H : K ] = [ LH : L ] h_L=[ H' : L ] を割る. (終) 

この命題よりただちに次の系が従います.

 

系 2.  K を CM 体,  K^{+} K の最大実部分体とし, それぞれの類数を  h, h^{+} とすると,  h^{+} h を割る.

 h^{-} := h/h^{+}

相対類数と呼ぶ.

 

また, 系2. で特に  K を円分体にした場合,  C, C^{+} をそれぞれのイデアル類数とすると, 自然な単射

 C^{+} \hookrightarrow C

が存在するという, より強い主張が成り立ちます.

 

何か間違いなどあれば教えてください.

 

[参考文献]