体の拡大と類数
ここでは, 代数体の拡大において, ある条件の下でそれぞれの類数に約数・倍数の関係がうまれることを紹介します.
命題 1. を Galois群が Abel 群になるような非自明な不分岐部分拡大 をもたない代数体の拡大と仮定する. このとき, の類数 は の類数 を割る.
証明 を のHilbert 類体 ( の最大不分岐 Abel 拡大)とすると, 類体論より Gal() は のイデアル類群に同型である. 仮定より, である. よって となる. しかし, は不分岐 Abel 拡大より, を の Hilbert 類体とすると なので は を割る. (終)
この命題よりただちに次の系が従います.
系 2. を CM 体, を の最大実部分体とし, それぞれの類数を とすると, は を割る.
を相対類数と呼ぶ.
また, 系2. で特に を円分体にした場合, をそれぞれのイデアル類数とすると, 自然な単射
が存在するという, より強い主張が成り立ちます.
何か間違いなどあれば教えてください.
[参考文献]