ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

n+1個以上の異なる解をもつn次方程式

今回は n+1 個以上の異なる解をもつ  n 次方程式」について考えてみます.

とはいっても, 僕が大学で代数学をやるまでは「 n 次方程式は高々  n 個の解をもつ」と理解していましたし, 高校でも出てくる主張なので決して大間違いというわけではないです. でも大学などで数学をちゃんとやった人からすれば, そもそもこの主張がとてもフワフワしたものに見えると思います.  どういうことかというと例えば, 証明は省きますが次の命題なら成り立ちます.

 

命題 1.  K を体とする. このとき n \geq 1 として,  f(x) \in K[x] n多項式とすると,  f(x)=0 は高々  n 個の解をもつ.

 

最初はなかった" K を体とする"という仮定がついています. このような事実があるので少なくともタイトルのような方程式を作ろうと思うと体でない環, もっというと整域でない環で考えないといけないです. このことをふまえると例えば次のような方程式が条件を満たします.

 

例.  f(x)=x^2-1 \in \mathbb{Z}/8\mathbb{Z} [x] として,  f(x)=0 x=1, 3, 5, 7 という異なる  4 つの解を持つ.

 

他にも  M_{2}(\mathbb{R}) 2 次実正方行列全体とすると

 

例.  f(X)=X^2-E \in M_{2}(\mathbb{R}) [X] として,  f(X)=0 は 無限個の異なる 解を持つ. (計算ですぐわかる)

 

こんな感じで大学入るまではどこで方程式を考えるかとかはあまり意識していないという人も多いと思うのですが, 大学に入ると仮定や条件をちょっと変えればすぐ反例が作れてしまったりするので自然と仮定などを気にするようになりますね.  仮定を外したらどうなるかとかを考えるのは定理や命題の理解や慣れのために大事だと思います. (反例作るのは大変な時もあるけど楽しい)

 

何か間違いなどがあれば教えてください.

 

 [参考文献]