ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

二次体の整数環のイデアルに関しての小ネタ

ここでは二次体の整数環に関しての小ネタを紹介します.

早速本題に入りましょう.

 

命題 1.  N \geq 2自然数,  D を平方因子を持たない整数とし,  K=\mathbb{Q} (\sqrt{D}) を二次体とする.  N を割るすべての素数 K で完全分解するとき,   K の整数環  \mathcal{O}イデアル  \mathcal{N} が存在して

  \mathcal{O}/ \mathcal{N} \cong \mathbb{Z}/ N\mathbb{Z}.

証明  N=p_{1}^{a_1} p_{2}^{a_2} \cdots p_{r}^{a_r}素因数分解し,  \{ p_1, p_2, \cdots, p_r \} N を割るすべての素数からなる集合とする. 仮定よりこれらは  K において完全分解するので

 p_iR=\mathfrak{P}_{i, 1} \mathfrak{P}_{i, 2}, \mathbb{Z}/ p_i \mathbb{Z} \cong \mathcal{O}/ \mathfrak{P}_{i, j} (j=1, 2)

となる. ここで例えば

 \mathcal{N}=\mathfrak{P}_{1, 1}^{a_1} \mathfrak{P}_{2, 1}^{a_2} \cdots \mathfrak{P}_{r, 1}^{a_r}

とすると中国式剰余定理からこれが条件を満たすイデアルになることがわかる. (終)

 

ちなみにこの命題の仮定は  {\rm `Heegner \ Hypothesis`} というそうです.

 

何か間違いなどあれば教えてください.

 

【参考文献】