全ての共役の絶対値が1である代数的整数
整数論の本を読んでいて証明が面白いなと思った定理があったので紹介します. Kroneckerの定理とも呼ばれているらしいです.(もしかしたら間違いかもしれないです)
では主張を述べて証明していきたいと思います.
定理 をすべての共役の絶対値が である代数的整数とする. このとき は のベキ根である.
証明 が有限集合になることをいう. 無限集合と仮定して矛盾を導く. に対して, より の最小多項式の次数は ] 以下になる. このとき解と係数の関係と共役の絶対値が全て であることから
となり, 右辺の集合は明らかに有限集合である. よって左辺も有限集合であり, ある が存在して, は無限個の に対する最小多項式となるがこれは矛盾. (終)
Remark. この定理の仮定で代数的整数という仮定を外すと反例があります. 例えば は共役の絶対値が ですが, そもそも代数的整数ではないので のベキ根ではないです.
何か間違いなどあれば教えてください.
[参考文献]