直感に反する"全射"
ここでは圏論における "全射" を定義して, 直感に反するような全射の例を紹介します.
まずは定義から.
定義 1. 圏 の射 が 全射的(epimorphic, epic) であるとは, 任意の対象 への からの任意の二つの射 に対し,
が成り立つことをいう. このとき を 全射 という.
例 集合の圏 の射に関しては, 普通の全射の定義と一致します.
では少し直感に反する例を紹介します.
命題 2. 環の包含準同型 は可換環の圏 における全射である.
証明 任意の対象 への からの任意の二つの環準同型 をとる. より, 任意の有理数 に対し,
より, なので は全射. (終)
Remark: これは可換環とその局所化に対して同様の設定で成り立つ.
何か間違いなどあれば教えてください
[参考文献]