ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

ラグランジュの定理の逆

今回は群論で有名なラグランジュの定理の逆の反例について紹介したいと思います.

まずはそもそもラグランジュの定理とはどのような定理だったのか確認しましょう.
 
定理  有限群  G の部分群  Hに対して, 
 |G|=(G:H) |H|
が成り立つ. 特に有限群の部分群の位数はもとの有限群の位数の約数になる.
 
これを用いるとたとえば素数位数の群は巡回群であるなどのことを示すことができます.
 
これの逆とは 群の位数を  n としたとき, 約数  d を位数にもつ部分群が存在するか? というものです. 結論からいいますとこれは成り立ちません. 実際次の反例があります.
 
命題  4次交代群  A_{4} には位数6の部分群は存在しない.
 
証明  もし位数6の部分群が存在したとしてそれを  H とおくと, これは指数2の部分群なので正規部分群であり, よって  A_{4} の奇数位数の元は全て  H に含まれることになる. しかし  A_{4} には位数3の元が8種類存在する(4次対称群の3次の巡回置換は全て偶置換でこれらは _{4}C_{3}×2=8種類ある)ので矛盾である.
 
何か間違いなどがあれば教えてください.
 
[参考文献]