ガランガラのブログ

数学や好きな音楽について書くことが多いです。

(固定)初学者向け群論解説 その0 ~群論を始める準備~

群論をこれから学んでいく, いきたいと思っている人の多少の助けになりそうなことをまとめていきたいと思います. 

設定(想定対象者や到達目標など)

想定対象者は

数学科系の学生ではじめて群論を学ぶ, もしくは講義があったがよくわからなかった人

です.

僕自身が雪江明彦さんの「群論入門」を読んで学んだので基本的にこの本の流れなどに沿ってまとめていく予定です.

なので到達目標は

です. また定義や定理の理解だけでなく, 演習によってそれらにちゃんと慣れることができるようにしたいと思います. 

 

群論を始める前に

本題に入りますが, おそらく群論を始める前に, 大学の講義などで解析・線形代数・集合と位相などを学んだ方も多いと思います. ここではその中で群論を学ぶ前に身に着けておいたほうが学びがスムーズになると考えられる事柄をまとめていきたいと思います. 数学は学んでから慣れてちゃんと身につくまでに時間がかかることもあるのでじっくり丁寧に, 自分が身についているか確認してみてください.

  1.  \exists \forall などの記号を使った文章を正確に読み書きできる.
  2. 写像や集合に関する言葉の定義を正確に読み書きできる.
  3. 置換の計算がわかる.

基本的にはこれくらいができれば(多少できてなくても続けていけば慣れてできていくと思いますが)大丈夫だと思います. 少し確認問題をまとめてみます.

 

確認問題

 (1) 命題 「 \forall n \in \mathbb{N}, \exists m \in \mathbb{N}, n <  m」 の真偽を理由とともに答えよ.

 (2) 命題 「 \exists n \in \mathbb{N}, \forall m \in \mathbb{N}, n <  m」 の真偽を理由とともに答えよ.

 (3) 写像  f : X \to Y全射であることの定義を述べよ.

 (4) 写像  f : X \to Y単射であることの定義を述べよ.

 (5) 写像  f : \mathbb{R} \to \mathbb{R}, f(x)=x^2 に関して, 逆像  f^{-1}(\{1\}) を定義に基づいて求めよ.

 (6) 写像  f : X \to Y, 部分集合  A, B \subset X に関して,  f(A \cup B)=f(A) \cup f(B) を示せ.

 (7) 写像  f : X \to Y, 部分集合  A, B \subset X に関して,  f(A \cap B) \subset f(A) \cap f(B) を示せ.

 (8) 写像  f : X \to Y, 部分集合  C, D \subset Y に関して,  f^{-1}(C \cup D)=f^{-1}(C) \cup f^{-1}(D) を示せ.

 (8) 写像  f : X \to Y, 部分集合  C, D \subset Y に関して,  f^{-1}(C \cap D)=f^{-1}(C) \cap f^{-1}(D) を示せ.

 (9)  (1\ 2\ 3)(2\ 3) を計算せよ.

 

これらの問題がわりとスムーズに解ければ大丈夫だと思います.

 

何か間違いなどあれば教えてください.

 

[参考文献]