安いネックレス
ここでは, 最近心理学の本を読んでみたときに載っていた「安いネックレス」という問題を紹介します. 答えは最後に載せておきます.
問題 個の輪がつながった 本の鎖を全部つないで つのネックレスにせよ. ただし, 個の輪を開くのに セント, 閉じるのに セントかかり, お金は全部で セントしか使えないとする.
この問題は「思考」についての話題で出てきました.
ここでは, 問題解決の過程として
- 問題の認識
- 問題点の把握
- 解決法の着想
- 解決法の検討
- 解決法の選択
という 段階あると考えられ, このうち「解決法の着想」の段階で 創造的思考 が必要になると述べられていました. 特に, その問題が今までに経験したことのないものになればなるほど創造的思考が必要になってきます. この創造的思考も次の つのプロセスがあると述べられています.
- 準備の段階 : 今までの知識を総動員して解決を試みる → しかし解決には至らない
- 温めの段階 : いったん解決をあきらめて休憩している. しかしこれは, じつは無意識の世界で アイデアを「温めている」段階
- 開明 (ひらめき)の段階 : 一瞬のひらめきで解決法が見出される. 強い確信とこれまでの苦労が報われた深い感動を伴う.
- 検証の段階 : 見出された解決法をいろんな視点から吟味・検討する.
これは僕自身数学をしていて経験することでもありますが, この創造的思考のプロセスでは, 解決に没頭している「準備の段階」ではなく, 一見解決とは関係のないことをしている「温めの段階」の後に解決法が見出されることが興味深いです. これを 孵化効果 といいます.
心理学者のシルヴェイラ (Silveira, 1971) は「安いネックレス」という問題を使ってこの孵化効果が天才的な発見・発明のためだけではなく, 普通の人のささやかな発見・発明にも生じることを確かめました. 実験内容は問題を
- 分ぶっ通しで解くグループ
- 途中 分の休憩をはさみつつ 分解くグループ
- 途中 時間の休憩して 分解くグループ
の グループに分けて問題を解いてもらい, 正解率を比べるというもので, 結果は第 のグループが % で最も正解率が高く, 次が第 グループの % で, 最後が第 グループの % だったようです.
(休憩といいつつその間も考えていた人がいたのではないか?とは思いますがどうなのでしょう)
またなぜこのようなことが起こるかについて, アメリカの心理学者ギルフォード (Guilford, 1967) は人間の思考を
- 収束的思考 : ただ一つの正解に向かって思考を集中させるもの (例 : は?)
- 拡散的思考 : 必ずしも答えが一つとは限らない問題 (例 : もし人間に性別がなかったら?)を考えるもの
の二つに分類しました. そして普段の日常生活では収束的思考を強いられる機会が拡散的思考を強いられる機会よりも圧倒的に多い場合が多く, そのためいつもの収束的思考から拡散的思考にスムーズに切り替えるため, あえて脳を休める時間が必要であると考えました.
なるほど って感じですね.
なんか普段の自分の経験や感じていることが, こういう形で言語化されて整理されていくのは勉強の面白いところだと思います.
なにか問題解決に行き詰まったら「休む」という選択肢も効果的なのかもしれないですね. (一応それなりの根拠・裏付けもあることですし)
何か間違いなどあれば教えてください. (心理学初学者なので特に)
[参考文献]
解答例
- 組をまずバラバラにして つの輪を開く. (この時点で セント)
- つの輪を使ってほかの 組をつなげる. (ここで セント)